介護ロボット「hug」
介護ロボット「ハグ」の導入
私の家では、母が2011年の東日本大震災の直後に脳卒中で倒れ、突然介護生活が始まりました。ふと気がつくともう介議歴が12年、13年ぐらいになっています。その間、いろいろありました。当初は母が家の中では歩行器を使って歩けていたのですが、新型コロナウイルスによる入院後、それもなかなか難しくなってしまいました。
それもあって、我が家では今「ハグ」という介護ロボットが活躍しています。何か自動でやってくれるだとか、鉄腕アトムのように家の中を歩いてくれるとかそういうわけではないのですが、この介護ロボットは非常によくできていて、我が家の生活はこれで成り立っていくと言っても過言ではありません。
と言うことで、このエントリーでは、介護ロボット「Hug」について書いてみます。
ハグの構造と利用方法
ハグとは、移乗サポートロボットです。簡単には、メーカのサイトをご覧頂くと良いですが、
https://www.fuji.co.jp/items/hug/hugl1
要介護者を機会にしがみつかせるようにして、人間が自然とたちがるような形で体重を預けさせながら、安全に身体を引き起こし、立ち上がらせるロボットです。
このハグという機械は非常によくできていて、構造としてはワンモーターで成立しています。モーターのところにボールがついたアクチュエーターが内蔵されていて、リジットなフレームが組み合わせられています。患者の脇の下をすくい上げるようなアームと、患者が掴まれる手が付いていると言ったような構造になっています。
立ち座りを支援するための使い方としては、患者の脇の下にアームを差し込んで、患者にはそのハグに寄りかかるように体重を預けてもらいます。そしてスイッチを入れるとアクチュエーターが伸びて、リンク機構を伸ばすことによって患者の体を引き起こしながら、重心をその介護ロボットに預けさせます。そのキャスターで転がして患者を動かしていくということができるわけです。
通常、立ち座りが不安定な人の介助は、大人が二人がかりで介助するのが一般的です。何故ならば、膝に力が入らなかったり、座る位置に失敗したりする時に怪我をしないように保護することや、一度床に座ってしまった要介護者を抱き起こすには、二人以上必要になるからです。
ですが、仮定では2人以上で介護する事なんて、普通はできません。しかし、このHugを使うと、一人で安全に立ち座りをさせル事ができるんです。
我が家でのHugの利用
我が家の介護対象者は母です。母は脳卒中をやっている上に、変形性関節症を持っています。 そんな母自身も、リハビリの成果で、私が見ている時には、私の声かけで自分で体を支えて立ち上がって、ベッドサイドに置かれた車椅子に移動するぐらいはできます。また、デイサービスに行った時は、介護施設の職員さんの見守りのもとで、車椅子からの立ち座りも十分にできているそうです。
もちろん、父が見守った状態で母が立ち上がるということも可能です。 しかし、万が一失敗して床に落ちてしまった場合、つまり転倒してしまったら、再度立ち上げることは困難です。骨折をしてしまったなんてことになったら、本当に完全に動けなくなってしまいます。それを防ぐために、通常はHugを使用して移乗するようにしています。
ですので、父ひとりの時間帯でも安全に移乗ができますし、私も通常は事故を防止する為にHugを使用しています。
Hugがあるおかげで、母となんとか自宅で暮らせています。
ハグと保険適用
このハグというロボットは、日本のメーカーが作っていますが、元々はヨーロッパで開発されているもののようです。コア部品の電動アクチュエータは輸入のようで、ヨーロッパの国で生産されているシールが貼られています。このHugはバッテリー駆動で電動で動くようになっていますが、これの素となった介護器具では、テコ車の様に、手動で体を抱き起こすような仕組みになっているものもあるようです。
実は、このハグが保険適用になったのは、母が2回目の新型コロナウイルス後、安全に移動する方法がないということで色々なものを検討した時でした。その時に、地元の介護事業者さんがハグを紹介してくださり、使えるようになったという経緯があります。 なんと、介護保険が使える様になってから半年しかたっていませんでした。ぎりぎりのタイミングで使える様になったわけです。本当にぎりぎりセーフでした。
介護ロボットの必要性と期待
Hugは、基本的に段差を登ることはできず、スロープも殆ど上る事はできません。ですから、使用するところが平らである必要があります。しかしそれは介護住宅改修で整えてしまえば良い事なので、こう言うロボットを前提に解像してしまえばいいと思います。 ここら辺は、全然違う分野ながら、製造業の工場などと同じ考え方なんだなと思ったりもしました。
この他にも、ロボット的なモノとしては、昇降座椅子というものも使っています。人間は座るときは低め、立ち上がる時は高めの方が身体に負担がかかりません。この昇降座椅子は、電動で自由に高さが変えられるようにできているので、母が乗り移りするときに便利ですし、これのおかげで母もこたつに入ることができています。
介護というのは誰にでも訪れます。そして、私のように配偶者もおらず、介護のために同居している一人で少人数で介護をしなければならないという状況は、今後増えていくでしょう。核家族化も進んでいますし、そんな時にこのような介護ロボットが支えてくれるのは非常に大きいと思います。
ただ、まだあまり知られていません。 今後もこのようなテクノロジーを使って介護問題が解決できるということが進んでいくといいなと思っています。
写真について
写真は、我が家にやってきたばかりのHugです。今ではだいぶ使い込んで少し様子が変わっていますが、現在も元気よく私たちを助けてくれています。