硝子体手術体験記と糖尿病網膜症

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1. はじめに

今回、硝子体手術を受けるため飯田市立病院に入院しました。プライバシーもあり迷いもありましたが、同じような境遇の方の参考になればと思い、経過をありのままに記します。

2. 発症と診断

私の家系は、特に母方のほとんどの親族が糖尿病というほど“糖尿病家系”です。一方で祖母は長年糖尿病を患いながらも百歳を超えて元気でした。だから必ずしも悲観しているわけではありません。ただ、適切な治療とケアが欠かせない家系であることは間違いなく、私も例外ではありません。30代で糖尿病と診断されて以降、ずっと管理を続けてきましたが、とうとう合併症が出てしまいました。

ある朝、目の中に黒い斑点が見えました。いわゆる飛蚊症と言われる現象ですが、墨を垂らしたように濃い影が見え、「ただ事ではない」と直感しました。その日は土曜日で三連休、病院が休みだったため、休み明けに地元の眼科(高森眼科)を受診。高森眼科では素早く一国を争うケースではないか、網膜剥離などの可能性を検査していただいた後、糖尿病性網膜症と診断していただき、すぐに飯田市立病院を紹介されました。

3. 手術を選択した理由

当初は「この程度の出血の場合は、自然に血が吸収されることもある」として経過観察になりました。しかし追加の出血が続き、血液がなかなか引かず、医師から「手術か経過観察か」を選択する場面に直面しました。調べてみると、糖尿病性網膜症で出血まで進むと最終的に約60〜80%が手術に至るとの古い統計もあり、また目の中に血があると詳細な診察ができないというリスクもあります。

さらに、手術を受ければ術中に汎網膜光凝固術(レーザー治療)を行えます。汎網膜光凝固は通常、外来で外からレーザーを当てますが、手術中なら眼内から的確に照射できるため、再発防止には大きなメリットです。経過観察ではそれらのリスクを持ったまま、さらに長期間(半年以上など)再出血の可能性を抱えながら待つことになります。この場合は仕事のパフォーマンスも、色々な地域活動も制限されます。また、私の場合は一次コントロールが悪かった糖尿病を、一念発起して改善を始めた直後に糖尿病網膜症から出血となったのですが、これが「早期悪化」と言われる現象に該当することや、網膜症は若年の方が活性が大きいと言う話もありました。こうなると、さらなる再出血のリスクも一定以上あると考えました。

こうした点を総合し、できるだけ早期に治療を受け眼底の状態を直接確認することが重要と判断し、手術を選択しました。

4. 手術の内容

手術は飯田市立病院眼科部長の森先生に執刀いただき、約1時間で終了しました。内容は、透明なゲル状組織である硝子体を取り除き、混ざった血液も一緒に吸引したうえで、眼内からレーザーを照射するものです。硝子体は乳幼児の目の発達には重要な役割を果たすものの、成人後に除去しても視力への影響は少ないとされています。

5. 入院生活と術後経過

入院は、入院前に手術説明の診察があり、そこと入院日は1人では受診できないと言う問題がありました。私は独身ですし、両親は高齢でどうすると考えていましたが、姉が助けてくれました。この辺りは、今後もう少し柔軟になって欲しいと思いました。

入院期間は予定どおり8日間。手術当日は午前10時に入院し、午後に手術を受け、その後は経過観察となりました。私の場合、網膜周辺にこびり付いた血液が少し残っており、術後すぐには視界が完全に晴れませんでしたが、術前と比べると明らかに視界は改善。途中に再び曇りが強くなることもありますが、日を追って徐々に血が溶解していく過程を感じています。

術後1〜2週間は安静が必要です。血圧が上がると再出血の恐れがあるため、重い荷物を持たず、衝撃や擦過を避ける目的でメガネで保護しています。現在(7月4日)で術後2週間を過ぎ、日常生活はかなり戻りましたが、長時間のパソコン作業は控え、音声入力などを活用しています。これも音声入力で原稿を書き、AI等を活用してまとめています。

6. 糖尿病網膜症に関する情報まとめ

  • 糖尿病と眼科受診の原則
    糖尿病と診断されたら定期的に眼科検診を受けることが必須です。コントロールが良好でも期間が長ければ発症リスクは残ります。初期の網膜症なら外来レーザー1〜2回で抑え込める場合が多く、早期発見が肝要です。

  • 出血が起きた場合の対応
    黒い影を見たら速やかに受診してください。糖尿病がある、あるいは家族歴がある場合は特に要注意です。明らかに病的な飛蚊症かどうかは眼科ではその日のうちに診断がつきます。私は比較的素早く受診したのですが、もし受診しなかったらと思うとぞっとします。

  • 経過観察か手術か
    少量出血なら自然吸収を待つことがありますが、追加出血や視界不良が続く場合は手術を検討します。両眼とも同じリスク下にあるため、出血などのある片眼だけではなくにもう一方にもレーザーを行うケースが一般的です。

  • 術中・術後の合併症
    網膜に張り付いた増殖膜が見つかると追加処置が必要になることがあります。また、術後感染症や眼圧上昇のリスクがあり、これらを早期発見するために飯田市立病院では1週間程度の入院が推奨されます。

  • 再出血の可能性
    統計では術後再出血率が10〜60%と幅広く報告されています。早期(術後10日前後)と術後2〜3か月にピークがあるとされるため、まだ安心はできません。

7. 感謝と今後の抱負

職場の同僚・上司、ご関係の皆様、一緒に地域で活動をしていただいているみなさま、母の介護関係者、そして家族には多大な支援と心配をおかけました。改めて感謝いたします。

手術はひとまず終わりましたが、再出血の可能性もあるため、今後も糖尿病のコントロールと定期受診を続け、身体のメンテナンスに努めていきたいと思っています。