入院で得たたくさんの気づきと学び、雑感

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これまで家族の入院に散々付き添ってきた経験から「入院は知り尽くしている」と思っていました。
しかし、自分自身が入院してみると、やはり体験はまったく異なります。どうでもいいことも多いかもしれませんが、感じたことを省略せずにそのまま書いておきます。
1つ目:車いすに乗ってわかったこと
手術室へ向かう際は、どんなに健康でも必ず車いすかベッドで移動するという決まりがあります。
今回、看護師さんに車いすを押してもらいながら廊下を進むと、リノリウムの床が意外に凸凹していると気づきました。押す側だったときは気にならなかった小さな段差でも、乗る側だとダイレクトに伝わります。
看護師さんは後ろから押すため顔が見えず、エレベーターに乗ったタイミングで顔をのぞき込んでくれるだけで安心できました。今後、母の車いすを押すときには必ず顔を見せて声をかけようと心に留めました。
2つ目:病院には多様な患者さんが集まっている
今回は目の病気で入院しましたが、体は動かせるので院内を散歩していました。
飯田市立病院は紹介状がないと受診できない地域の中核病院です。小児科に来る子ども、白内障手術で訪れる高齢者、私のように若くして網膜の病気を患う人、加齢による病気で定期的に注射を受ける人など、本当に多様な患者さんがいます。
母を車いすで連れて来るときの感覚以上に、同じように車いすで家族に付き添われる方が多いことを実感しました。平日昼間には作業着姿で会社を抜けて来ている方も見かけ、ここが地域の最後の砦であることを改めて感じました。皆さんが前向きに治療と生活を両立している姿に、自分も頑張らなければと励まされました。
3つ目:院内コンビニ(デイリーヤマザキ)のありがたさ
病院内にデイリーヤマザキのブランドでコンビニが入っており、電子マネーにも対応していて大変助かりました。
病院の外に出られない入院患者にとって、外とつながる貴重な窓口です。医療費以外の支払い(入院日用品セットや病衣など)もコンビニレジで済ませられ、日用品やお茶なども手頃な価格で購入できます。
特殊な絆創膏や医療用ウィッグなど病院ならではの商品もそろい、店員さんも知識豊富でした。飯田下伊那管内でコンビニブランドが入り電子マネー対応している病院売店は、恐らくここだけではないでしょうか。入院中にお金をおろさなくてもよいですし、現金や小銭も不要です。高次脳機能障害などで計算が難しい方にも優しく、他院でも電子マネー対応が進むと良いと強く感じました。
4つ目:専門外来の存在
飯田市立病院には内科・外科・眼科・脳神経外科などに加え、スポーツ整形外科などの専門外来もあります。
完全予約制で待合室から離れた場所に診察室が設けられており、以前なら松本市や県外へ行かなければ受けられなかった診療が地元で完結できるようになっていました。地域医療の充実を実感しました。
5つ目:階段を使う医療従事者の体力
私は3階西病棟に入院しており、リハビリも兼ねてエレベーターではなく階段を利用していました。
病院の階段は一般的な階段より段差が低く、滑りにくい設計ですが、それを医師や看護師さんが一段飛ばしで軽快に上っていく姿をよく見かけます。体力を維持してこそ質の高い医療が提供できるのだと実感しました。
6つ目:夜間に活躍するロボット掃除機
夕食を終え、20時ごろに院内を散歩していると、1階ロビーから円盤型のロボット掃除機が静かに現れました。
家庭用より一回り大きく、人が近づくと止まって待機するなど賢く制御されています。都会のオフィスビルで見かける大型ロボットよりコンパクトで、病院でもロボット化が進んでいることに感動しました。
7つ目:病院食の温冷分離と味付けの工夫
配膳トレイは中央で仕切られ、右側は温められたご飯や味噌汁、左側は冷たいフルーツや冷奴と、適温を保ったまま届きます。
塩分は日本人の基準である1食6 g以内に抑えられているものの、味は想像以上にしっかりしていて驚きました。栄養士さんの努力を感じ、自宅でも和え物やフルーツを取り入れるようになりました。
8つ目:医療スタッフの心遣いとバイタル測定
私は視覚的安静が必要でしたが、足腰は健康なので自由に歩けました。看護師さんは過度に干渉せず見守ってくれつつ、行動や体調は細かくチェックしてくれていたようです。
毎朝の血圧・体温・血中酸素濃度の測定は簡単で、体のシグナルを正確に把握できます。退院後も家族とともに測定を続けています。
9つ目:散瞳検査の日は飯田線で通院
瞳孔を拡張する薬を使う散瞳検査の日は車で来られないため、伊那八幡駅から飯田線を利用しました。
Googleマップでは田切駅が近く見えますが直通路がなく、伊那八幡駅の方が実際は便利です。飯田線は区間によって車掌さんが乗務しており、昔と同じように車内で切符を買えます。一部はワンマン運転でバスと同じ方式です。
昼間の列車は空いていて資料を読んだりうとうとしたりでき、自分で運転しなくて良い気楽さを再発見しました。地元ローカル線を使って映画館に行くなど、車を使わないゆったりした過ごし方も良いかもしれません。
まとめ:今回の入院を振り返って
入院には大変な面もありますが、新しい発見も多く得られました。できればもう入院したくはありませんが、この経験を人生の糧として活かしていきたいと思います。