高森町→東京の移動ルート整理(高速バス/鉄道/自家用車連携)

2025-09-04.png

飯田下伊那は「陸の孤島」と表現され、アクセス方法をよく尋ねられます。 最近は東京に行くことが非常に増えていております。その経験から、高森町(飯田下伊那)から東京に行くルートについてまとめておきます。

基本は高速バスが最も利便性の高いルートであることを押さえて動くとよいと思います。 私は高速バスをメインに、必要に応じてあずさ、新幹線を利用します。 高速バスが苦手な方には、中央線の「あずさ」が止まる駅まで車で行く、あるいはいらっしゃる方は来ていただいて迎えの車を向かわせる方法もあります。

まとめ表

結果だけ知りたい方もいらっしゃると思うので結論から先に。

ルート説明

主な交通機関 乗車バス停・駅 降車バス停・駅 オススメ度 メモ
中央高速バス 高速バス 高森(中央道) バスタ新宿 ★★★ バスがOKならオススメ。飯田下伊那民の遠出標準ルート
茅野駅・あずさルート 車・特急あずさ(中央東線) 茅野駅(中央東線) ★★☆ バスが不可な場合・乗り継ぎがある・定刻性が重要な場合に。
佐久平・北陸新幹線ルート 車・あさま(長野・北陸新幹線) 佐久平(長野・北陸新幹線) ★☆☆ 前泊・後泊が不可で最速が必要な場合に。東北・上越方面ルートとしても
飯田線→あずさルート 普通列車・特急あずさ(飯田線→中央東線) 市田駅 ☆☆☆ 実用と言うより観光ルート。今回は実用ルートの話なのでオススメ度低い
名古屋高速バス→東海道新幹線ルート 高速バス・東海道新幹線 伊賀良(高速バス停)・名鉄バスターミナル・名古屋乗り換え 東京駅 ★☆☆ 中央道ルートが難しい時の代替。お金はかかります。
リニア中央新幹線ができたら? リニア中央新幹線 長野県駅(仮称・飯田市上郷) 品川 ★★★★★★★★ 2034年以降。品川駅から30分の範囲が飯田下伊那の時間的通勤圏内になる

高森→東京(始発で移動)

高森(町役場基準) 自動車運転時間 乗車駅・バス停 ←乗車時刻 新宿駅/バスタ新宿 東京駅 所要時間 メモ
中央高速バス 5:10 15分 高森(高速バス停) 5:27 9:15(平日は30分遅れる) (9:45) 約4.5時間 通常ルート。運転の距離が短く、比較的早く、価格も安い。
茅野駅・あずさルート 5:30 1時間10分 中央線茅野駅 7:00 9:11 9:26 約4.5時間 バスが使えない場合のルート
佐久平・北陸新幹線ルート 4:00 2時間 北陸新幹線佐久平駅 6:24 ―― 7:40 約4時間 最も朝早くに到着きるるルート。大宮乗り換えで上越・東北にも
飯田線→あずさルート 5:10 5分 市田駅 5:16 10:58 11:12 約7時間 時間がかかる上にバスよりも遅いので通常は選ばない。
名古屋高速バス→東海道新幹線ルート 5:15 30分 伊賀良 5:46 ―― 9:24 約4.5時間 コストは高いが早い。
リニア中央新幹線ができたら? 6:00 10分 (長野県駅) 6:20 ―― 7:05 約1時間 駅から品川まで45分

東京→高森(終電・終バスで移動)

東京駅 新宿駅/バスタ新宿 下車駅・バス停 ←到着時刻 自動車運転時間 高森(町役場基準) メモ
中央高速バス (7:30) 8:25 高森(高速バス停) 0:09 15分 0;30 約4.5時間 通常ルート。運転の必要がなく楽で価格も安い。
茅野駅・あずさルート 20:45 21:00 中央線茅野駅 23:17 1時間10分 24:30 約4.5時間 バスが使えない場合のルート
佐久平・北陸新幹線ルート 22:08 ―― 北陸新幹線佐久平駅 23:28 2時間 26:00 約4時間 最も滞在時間が長いルート。ただし佐久平駅まで2時間。
飯田線→あずさルート 18:45 19:00 市田駅 23:40 5分 23:45 約6時間 時間がかかる上にバスよりも遅いので通常は選ばない。
名古屋高速バス→東海道新幹線ルート 18:39 ―― 伊賀良(高速バス停) 22:30 30分 23:00 約4.5時間 終電の時間はどうしても早くなる
リニア中央新幹線ができたら? 22:00 ―― (長野県駅) 22:55 10分 23:05 約1時間 駅から品川まで45分

料金比較(概算)

合計 ガソリン代 高速代 公共交通機関料金 駐車場代(1日) メモ
中央高速バス 9200円~13000円 なし(短距離) なし 9200円~13000円 なし 最も安い。高速バス料金は混雑具合や予約方法で料金が異なる。
茅野駅・あずさルート 16080円+駐車場代 2880円 3800円 11300円 500円
佐久平・北陸新幹線ルート 21400円+駐車場代 4680円 3800円 12920円 1300円
飯田線→あずさルート 15440円 なし(短距離) なし なし (市田駅駐車場なし)
名古屋高速バス→東海道新幹線ルート 28560円 360円 なし 28200円 500円
リニア中央新幹線ができたら? 14600円+駐車場代 なし(短距離) なし 14600円 不明 品川から200kmと仮定して新幹線料金+700円で仮定

高速バス(高森 → バスタ新宿) バスが苦手とかでなければオススメ

地元民が最もよく使うのは高速バスです。JR飯田線が走っていますが、駅数の多いローカル鉄道で、過去の経緯もあって線形が曲がっており、飯田駅から北には特急が走っていないなどの条件があるため、あまり早くありません。

一方、この地域には中央自動車道が全国的に見ても比較的早い時期に整備され、高速バスが発達しました。高森の高速バス停(名称「高森」)には、高森町が整備した無料の駐車場とトイレがあり、他町の人もわざわざ利用することがあるようです。また、日本国内でここだけにしかない試験設備がある、産業振興と人材育成の拠点、エス・バードの最寄りバス停もここになります。そのため、他のバス停よりも多くの人が乗車する印象があります。

東京行きは、最も早い便が高森を05:27発で、定刻では新宿に09:15到着です。ただし、首都圏の朝の渋滞に巻き込まれることが多く、平日はだいたい09:30〜09:45頃の到着がほとんどです。休日は渋滞が起きないため、09:00少し過ぎなど、むしろ早めに着くこともあります。

帰りは、バスタ新宿を20:25に出る便が終バスです。これに乗ると高森には00:00少し過ぎに定刻到着です。特別な渋滞がなければ、00:00よりも少し早い到着になることが多いです。ただし、終バスと考えると20:25は早く、イベントの懇親会に参加すると、最初の乾杯だけで早々に退出しなければならないことがあります。微妙に後泊が必要なことも。

茅野駅ルート(パークアンドライド駐車場利用)バスが苦手な方&終電を21時にしたい場合は選択肢

次のルートが、茅野まわりルートです。高森から自家用車で中央道を走り、中央東線の茅野駅へ向かい、そこから特急あずさを使うルートです。 距離的に最も近い中央線のあずさ停車駅は上諏訪駅なのですが、茅野駅は

  • 中央道諏訪インターから比較的近くアクセスが良い
  • パークアンドライド駐車場が整備されており、特急「あずさ」に乗車する場合は1日1,000円で駐車できる制度がある
  • 茅野駅には特急「あずさ」が全列車停車する

と言う特徴があり、特に自分で運転するなら茅野駅がオススメです。(逆に東京方面から来た方をお迎えするときには上諏訪駅がいいかもしれません)

このルートでも始発新宿到着は朝9時台で、高速バスと到着時間は大差ありません。しかし、鉄道は渋滞がなく確実に到着でき、快適性の面でも高速バスよりは座席が広く有利です。 また、このルートだと東京での滞在時間を若干延ばせます。終電はこちらの方が若干遅く、21時に新宿を出るあずさが利用できます。また東京駅から乗り換え無しで乗車できる事、JR線同士の乗り換えで改札を出る必要がないこともメリットになる場合があります。

一方で、費用的には駐車場代やガソリン代なども入れると高速バスの倍かかることと、自分で茅野駅まで運転しなければならない点がデメリットです。これらを許容できれば非常に良い選択肢です。

佐久平駅ルート(佐久平 → 北陸新幹線)最も早い時間に到着でき、東京での滞在時間を最大化。

さらに朝早く東京に到着し、かつ遅くまで滞在したい場合に対応できる第三の「裏技」的なルートが、佐久ルートです。自宅から車で佐久平駅に行き、始発の北陸新幹線で東京駅を目指します。始発を使えば、朝07:40に東京駅に到着できます。戻りも、東京駅を22時台に出る新幹線があるため、茅野駅ルートよりさらに遅くまで滞在可能です。

さらに、このルートは大宮駅を通ります。大宮経由で東北・上越新幹線方面にもアクセスできるのが特徴です。このルートだと、例えば仙台にも9時前には到着できます。

一方、ここで挙げた公共交通ルートの中で最もコストが高くなります。また、自宅出発が朝04:00頃になり、佐久平まで約2時間の運転が必要です。新幹線の乗車時間よりも車移動の方が長く、公共交通機関での移動と言ってよいのかという問題はありますが、宿泊するよりは早くできますし、どうしても前泊・後泊ができないときなどには重宝します。

ちなみに似たような裏技として、関西方面に出る時は岐阜羽島ルートがあります。これを使うと新大阪に8時前、博多駅にすら10時過ぎぐらいに着くと言うものです。

鉄道(飯田線 → 中央線・特急「あずさ」)のんびりとした旅に。あまりオススメしない。

すべて鉄道を使う場合は、飯田線に乗ってローカルの各駅停車で辰野まで行き、そこから中央東線に乗り換えて特急「あずさ」で上京するルートにも念のため紹介します。所要は高速バスより約+2時間、計6時間以上かかってしまうため、あまり効率的ではありません。 ダイヤも東京方面との接続を意識していないため、乗り換え時間も長くなります。

特別な理由がない限り利用するルートではないと思います。ただ、長距離交通機関というと鉄道、と言う先入観から、公共交通機関でこのルートを使っていらっしゃる方もいるようです。そのほか、観光でのんびりというのはよいかもしれませんね。

その他:名古屋経由(代替案)中央道・中央東線ルートが使えないケースに

中央東線や中央道が何らかの事情で不通になった時などに使える代替として、名古屋まわりのルートがあります。中央高速バスで名古屋に出て、名古屋から東海道新幹線で東京へ向かう方法です。コストは最も高くなりますが、実は意外と早く東京に到着できます。名古屋には結構早く到着でき、そこから新幹線に乗れば東京駅に9時30分に到着できます。新宿到着後に中央線で東京駅へ移動した場合と同程度の時間で、横浜など東海道新幹線沿線への最終アクセスが必要な場合には、選択肢となり得ます。

来訪者向け:中央線+高速バス(甲府経由)

番外編として、高速バスと中央線を組み合わせるルートもご紹介します。 他から来た方には自家用車の併用はハードルが高い一方、飯田線利用は大変というケースを補完するものです。

これは、名古屋→甲府間の高速バスを利用するものです。名古屋から甲府行きの高速バスは、実は高森でも乗車扱いがあるのです。これを利用して高速バス高森から乗車して甲府へ出て、そこから中央線に乗る方法です。逆に東京から高森に来るには、中央線の「かいじ」もしくは「あずさ」で甲府まで来て、甲府駅前から高速バスに乗車し、高森で下車するというルートです。 これは公共交通機関だけで高森に到着できる貴重な選択肢です。デメリットとして、朝の便も遅く、終バスも早い時間帯で、地元の人が外出するには使いづらい時間設定になっている点があります。

ですから、地元の人が出ると言うよりも、余所からいらっしゃる皆様の手段になるでしょう。

将来:リニア開業時の展望

最後に、もしリニアができ上がるとどうなるか。品川まで約45分でアクセスできると言われています。この45分とは、品川駅から山手線の反対側の駅に乗るよりも早い時間でアクセスできる計算です。

ご存じの通り品川は品川ゲートウェイシティなどの建設が進み、東京駅以上のターミナル駅になろうとしています。ここから各地にもより容易にアクセスできるようになるでしょう。

そして、現状の高森から東京の最速が約4時間であることを考えると、それが45分になるインパクトは非常に大きいです。JRは各駅停車を現在の新幹線の「こだま」並み1時間に1本程度設定する、としていますから、おそらく朝6時台の始発から深夜は到着が23:00頃になる列車まで運行されるイメージです。

また、あまり注目されていませんが、品川の前に神奈川県駅もでき、これを利用すると厚木など神奈川県西部にもアクセスしやすくなります。実はこのあたり、飯田下伊那から行く時に

コストは高速バスより高くなると思われますが、飯田・高森のポジションが大きく変わるのは明らかで、それを前提にまちづくりや産業の構想が活発になるのも納得できます。その時、飯田下伊那はどういうポジションでいるべきか? と言う事は、また別の機会に。